ノウハウ

【発達障害グレーゾーンのお子様を持つ方向け】生きやすくなるための大切なルール

発達障がいグレーゾーンに位置する子どもたちは、一般社会で生きて行くことになります

困り感やストレスを抱えながらも、何とか自分と折り合いをつけながら仕事をしながら生活していく……。親は、それを見守ることしかできません。

子どもの頃はまだ良いでしょう。園や学校などと親が密接に関わりながら、子どもの成長をサポートしていけるかもしれません。

ですが、社会に出た後も親がずっとサポートし続けられるかということになると、不安がありますよね。会社の人とのコミュニケーションがうまく取れないと悩む子ども。そんな子どものために、親が会社に連絡を取って相談する……というのは、子どもの自立をサポートする立場として難しいものがあるでしょう。

子どもが大人になって、社会で生きていく……。輝く未来を実現するために発達障がいグレーゾーンの子どもの親は、子どもに「生きていく上で大切なルール」を子どものうちから教えていく必要があります。そのルールを教え込むのには、それなりの時間がかかるかもしれません。ですが、社会で生きていくために必要なルールをしっかりと教えることは、子どもが生きていく上で重要な鍵となるでしょう。

「ルールを教えるって……自然と覚えるものじゃないの?」
「周りを見ながら、成長とともにわかってくるはず」
「園や学校で先生から教わるでしょう」

そんな疑問が湧いてきた方もいるのではないでしょうか。そこでこの記事では、発達障がいグレーゾーンの子どもに「大切なルール」を教えなければならない理由・ルールの教え方などについて詳しくご紹介します。

発達障がいグレーゾーンにいる子どもたちの悩み

発達障がいグレーゾーンの子どもたちは、園や学校での対人関係・活動・学業などに悩みを抱えている場合が多いです。

  • 自分の発言や行動によって相手が怒ってしまったけれど、その理由がわからない。
  • 全然友達ができない。
  • 仲良くなれた友達がいても、すぐによそよそしくなってしまう。
  • 距離感がつかめず、クラスの皆から無視されている。
  • 授業中もおしゃべりしてしまって先生に怒られっぱなし。
  • 周りの声がキンキン響いて授業に集中できない。
  • 先生の指示がよくわからなくて行動が遅れてしまい怒られる。
  • 授業中、意味がわからなくなって手遊び。

一人で過ごす時間や、家では問題ないのに……他人と関わること・学校での授業・活動で生じる摩擦に、発達障がいグレーゾーンの子どもたちは困り感・ストレスを抱えています。

園・学校という小さくて大きな社会

親からしてみると、園や学校というのは「数年間通わなければならないけれど、いずれ終わるもの」というものですよね。

ですが、思い返してみてください。あなたが園や学校へ行っていた時……どういう気持ちでそこにいましたか?

園や学校以外を知らない子ども時代のあなたにとって、そこが全てという気持ちで満たされていたのではないでしょうか。子どもにとっては、毎日のように過ごすことになる園や学校が社会そのものなのです。

対人関係

園や学校、そして家……。子どもたちは様々な人間関係を経験することになります。家族や教師、友達や友達の家族など、それぞれに適した対応を取らなければならなくなるでしょう。

友達にはため口でも良いけど、目上の人や知らない人には距離感を考えながら敬語で話さなければならない。その場に合った振る舞いを、子どもたちは望まれます。

活動・学業

園や学校は、活動も学業も集団行動を基本としています。皆と同じペースに合わせるというスキルが必要とされます。

自分の好きな時に勉強して、好きな時に休憩を摂る……というのは難しいですよね。授業中におしゃべりばかりをしていては、他の子どもが勉強する時間を邪魔してしまうことになるでしょう。

皆と同じ行動を取らなければならない場面において、発達障がいグレーゾーンの子どもは動き方がわからずにその場で固まってしまうこともあります。

生きづらさを緩和するためにはルールを知る必要がある

先にも書いたとおり、園や学校は自分以外の人との関わりや集団行動を学ぶ場所です。それは大人になった子どもたちが入ることになる、社会の縮図と言っても過言ではないでしょう。

自分以外の、家族以外の人がいる場所ではマイルールを使用できませんよね。人間関係や集団行動には、大切な「決まりごと(ルール)」が存在します。

たとえば、「他人のものを取らない」「あいさつをする」「授業の準備はすぐにする」「勝っても自慢しない、負けても怒らない」など。

ちょっとしたことかもしれませんが、ルールを守ることができていれば、生きづらさは減っていくものなのです。

人間関係をギクシャクさせて居心地が悪い場所にしないためにも、子どもにはあらかじめルールをしっかりと教えておく必要があるでしょう。

大きく分けて、教えておいたほうが良いルールは3つです。

教えておきたい大切なルール
  • 園・学校のルール
  • 人付き合いのルール
  • 活動・学業のルール

園・学校のルール

園や学校それぞれに、決まりごとというのは存在します。

  • 8時15分までに登校する
  • 休み時間は守る
  • 廊下は走らない など

これは、園・学校生活を円滑に送るための決まりです。ルールを破れば、教師から叱責されたり友達から白い目で見られることもあるでしょう。

人付き合いのルール

  • 友達の良いところを褒める
  • 相手の意見も大切にする(自分の考えやルールを押しつけない)
  • 何でも自慢しない
  • 自分の気分で相手にイライラをぶつけない
  • 相手の素晴らしい部分は積極的に褒める
  • 人のテストの点数を皆に言ったりしない
  • 人の名前を覚える
  • 誰かがものを落としたら拾ってあげる
  • 誰かがしゃべっている時にかぶせて話さない
  • 正直でいる
  • 間違いを指摘されても怒らない
  • くしゃみや咳をする時は口をふさぐ
  • 相手の目を見て話す
  • 感謝の言葉を忘れずに伝える(何かをもらったとしたら、3秒以内に)
  • ご褒美などを自分から欲しいと言わない
  • 嫌いな相手でも無視はしない(あいさつだけは笑顔でする)
  • 怒られている人を見て笑わない(できる限りそちらに注目しない) など

人間関係を円滑に保つためには、相手に対する思いやりの気持ちが大事です。発達障がいグレーゾーンの子どもの中には、他人の気持ちを考えることが難しいという特性を持つ子もいます。

なので、細かいことでも丁寧に一つひとつ、人付き合いをする上で大切なルールを相手がどういう気持ちになるかを伝えながら教えていくと良いでしょう。

活動・学業のルール

  • 宿題をさぼらない
  • 授業が終わったら次の授業の準備をしておく
  • 授業や勉強でわからないところがあったら質問する
  • 後片付けはしっかりとする(出しっぱなしにしない)
  • 授業中は先生の話をよく聞く
  • 授業中に席を立たない など

一つひとつは当たり前に感じるかもしれないですが、活動や学業をおこなう上で大切なルールと言えるでしょう。

社会に出て生きていくためにも必要なルールをしっかりと教えよう

前の項目では、園や学校で必要となるルールの一例を紹介しました。もちろん、子どもに教えておいて欲しいルールというのは他にもあります。

こういうルールを覚えることで、発達障がいグレーゾーンの子どもたちは「こういう場面では、このルールを守ったほうが良い」というスキルを獲得できるでしょう。

なお、療育では、子どもたちのそういったスキルを高めるためにソーシャルスキル訓練を実施したりもしています。(絵を見て、どういう状況なのか・どういう行動を取るのが適切なのかという問いを子どもに投げかけたりするもの)

生活に必要な決まりごと

園や学校を卒業したとしても、子どもたちの暮らしは続いていきます。そんな生活の中で必要になるルールも、子どもたちは獲得していかなければなりません。

  • ご飯を食べたら歯磨きする
  • 帰宅したら手を洗う
  • 洗濯ものは洗濯かごに入れる
  • トイレが終わったら手を洗う
  • 寝る前にはトイレに行く など

当たり前のことだと思うかもしれませんが、自分のためだけでなく、自分以外の人と生活を共にしていく上で必要なルールというのはたくさんありますよね。

「自然と覚えて当たり前」という考えは捨て去る

よく耳にするのが、「そういうルールって、成長するに従って自然とわかってくるでしょう」というものです。しかし、発達障がいグレーゾーンの子どもというのは、周りを見てルールを捉えたり考えたりするのが難しい場合もあるのです。

ですから、「自然に覚えることだ」という考えは捨て去ってしまったほうが良いでしょう。

子どもの特性によって教え方をアレンジ

社会に出てからも大切になってくるルール。そういうルールを教える時、子どもの特性によってベストな教え方というのが異なります。

子どもの特性によってルールの教え方をアレンジしよう
  • 視覚優位:ホワイトボードにルールを書く
  • 聴覚優位:何度も繰り返しルールを教えて復唱させる
  • 飽きっぽい:ゲーム方式 など

ルールは一つひとつ丁寧に教える

発達障がいグレーゾーンの子どもにルールを教える時は、丁寧に教えるというのを意識してみましょう。あれもこれもと、一度にたくさんのルールを教え込もうとするのはNGです。一つひとつ、階段を上がっていくような感覚で、子どものペースに合わせて丁寧に教えてみてください。

駆け足でルールをさらっと教えてしまうよりも、何度も繰り返し、一つひとつ教えるのがおすすめです。

「どうして理解できないの」とイライラしない

ルールを教える際に気をつけて欲しいのは、親のペースではなく子どものペースに合わせる、ということです。真面目な人ほど「今日はこのルールを習得してもらって、明日はこのルールを……」というように綿密な計画を立てたりします。けれど、その予定は崩れるものだというのをあらかじめ理解しておきましょう

親から見て、この子だったらこのペースでできるだろうと思える計画であっても……実際にやってみると、思いのほかしっかりと理解させるのに時間がかかってしまうケースもあります。そういう時に、「どうしてわからないの!」と怒ってしまわないよう、自分自身のアンガーマネジメントも大切です。

ルールと一緒に自分がそれを守るべき必要性・理由も教える

「〇〇する」というルールを教える時には、どうしてそのルールを守る必要があるのか・理由についてかみ砕いて説明するようにしましょう。わかっていないようであれば、何度も言い方を替えてみたり、子ども自身に「どうしてだと思う?」と質問してみたり、別の日にふっと質問してみたりしてルールの必要性を定着させてみてください。

過程を褒める

教えてすぐにルールを実行できることもありますが、そうでないこともあります。何かをやった後にハッと「ルールが守れなかったと気づいた表情」をした場合は、「また守れなかったね」というマイナスな言葉かけではなく、「よく気づけたね」と、ルールを思い出したことを褒めてあげましょう。

ルールを守るために頑張っている子どもの過程を褒めるのは重要なことです。

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今回、発達障がいグレーゾーンの子どもたちにルールを教える必要性、そしてその方法などについてご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。

学ぶべきルールはたくさんあります。この記事で載せたこと以外にも、家庭内や学校、社会などで必要になってくるルール(スキル)はたくさんあるでしょう。

すぎな塾では、そうしたルールについての学びも提供しています。オンライン面談にて個別相談にものりますので、発達障がいグレーゾーンの子どもそれぞれの特性に合わせたアドバイスができるでしょう。

まずは無料のオンライン相談をご活用ください😊発達障がいグレーゾーンで生きづらさを感じているご本人様、そのご家族様にしっかりと向き合ってまいります。