発達障害とは？
発達障害とは、生まれつきの脳機能の発達の偏りによる障害であり、その人が過ごす環境や周囲の人との関わりのミスマッチから、社会生活に困難が発生します。
発達障害には主に、自閉症スペクトラム障害（ASD）、注意欠陥多動性障害（ADHD）、学習障害、などが含まれます。
発達障害者支援法によると、「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています
。
発達障害がある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手であり、その行動や態度が誤解されることがままある状態です。
自閉スペクトラム症（ASD）
自閉スペクトラム症（ASD）は、人生早期から認められる脳の働き方の違いによって起こる障害であり、親の子育てが原因となるわけではありません。
ASDの特徴は、言葉や他者との関わりが苦手であり、特定のことに強い興味や関心を持ったり、こだわり行動があることです。
診断の時期は幼少時から認められ、多くの場合、3歳までに診断が可能であり、特性の現れ方は人それぞれ異なります。
ASDは、社会的コミュニケーションや対人的相互反応における持続的な欠陥があることを特徴とし、治療は個々の発達ペースに沿った療育・教育的な対応が必要です。
社会性やコミュニケーションの障がいと呼ぶ人もいます。
注意欠如・多動症（ADHD）
ADHD（注意欠如・多動性障害）は、不注意、多動性、衝動性の症状が見られる障害であり、症状の現れ方によって「不注意優勢に存在」「多動・衝動優勢に存在」「混合して存在」と分類されます。
ADHDを持つ子どもは、授業中に集中することが難しかったり、忘れ物が多いなどがあり、叱られることが多くなりがちです。
ADHDの有病率は学齢期の小児の3～7％程度と考えられており、男の子のほうが女の子より発症率が高いとされています。
ADHDの治療は、「療育（発達支援）」と「薬による治療（薬物療法）」があり、環境への介入や行動への介入、薬物療法などが組み合わせて行われます。
ADHDを持つ子どもは、自己肯定感が傷つくことも少なくありません。
それは社会に出てからも同じです。
養育者が子育てで悩みを抱えることもあるでしょう。
ADHDの治療には、早期から介入し療育を行うことで、二次的な問題を予防することができるとされています。
学習障害（LD）
学習障害（LD）は、知的な遅れがないにもかかわらず、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」能力に困難が生じる発達障害です。
学習障害には、読字の障害を伴うディスレクシア、字を書くことに困難があるディスグラフィア、算数・計算、推論が困難なディスカリキュアなどがあります。
学習障害の特徴は、学習が本格化する中で、特定の課題だけが著しく遅れることであり、小学校に入学してから判明することが多いとされています。
学習障害の原因は分かっておらず、生まれ育った家庭や環境が原因ではないとされています。
学習障害の子どもの特性や支援は一人ひとり異なり、環境を整え、学習方法を工夫することで困難を軽減することができます。
発達障害の「重さ」、「軽さ」の医学的基準
発達障害の「重さ」と「軽さ」を医学的に測る明確な基準は存在しないというのが現在の状態です。
発達障害の診断は、日常生活や社会生活上の困難や生きづらさを確認することで行われます。
例えば、DSM-5（精神障害の診断と統計マニュアル）でも、診断基準は主観的な理解を数値化・リスト化しているだけであり、絶対的な数値基準は存在しません。
医師は断定を避け、「グレーゾーン」や「傾向がある」という表現をすることが多いようです。
そのため、発達障害の診断は個々の症状や特性を総合的に考慮し、医師の判断によって行われます。
発達障害グレーゾーンの定義
発達障害の「グレーゾーン」とは、医学的な診断基準を完全に満たさないが、発達障害の特性が見られる状態を指します。
これは、他の記事でもお伝えしているとおりです。
「発達障害ではないから、何の心配もいらない！」と思う人もいるかもしれません（実際に、養育者がそうやって安心してしまう場合も多々あります）。
しかし、「発達障害」ではなく「発達障害グレーゾーン（発達障害の傾向あり）」という状態というのは、診断を受けた人と同様の困難を抱えており、支援を受けられない、相談先がない、理解を得にくいといった特有の問題が生じることがあります。
発達障害のグレーゾーンには、ADHDや自閉症スペクトラム障害（ASD）などの一部の特性が表れることがあるのです。
この状態の子どもや大人に対しては、個々の特性に合わせた支援や理解が重要です。
発達障害グレーゾーンの特性と生きづらさ
発達障害グレーゾーンは、発達障害の診断基準を満たしていないが、生まれつきの特性により生きづらさを感じる状態を指します。
この状態には、コミュニケーションの苦手さやこだわりの強さなどが含まれます。
発達障害グレーゾーンの人々は、診断を受けた人よりも社会生活での困難が多いことが特徴です。
この状態には、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症などが含まれます。
発達障害グレーゾーンの特性について、適切な支援を受けられないことや周囲とのギャップを感じて孤軍奮闘するケースが多いという声も各所で上がっているようです。
発達障害グレーゾーンの人々は、「なんとなく生きづらい症候群」とも表現され、明確な理由がないのに生きづらさを感じることが特徴であると言えます。
発達障害の基準には満たないものの、生まれつきの特性（共感性が低い・こだわりの強さ・自己管理の難しさ）によって、生きづらさを感じるのが、発達障害グレーゾーンに属する人の共通点なのです。
発達障害グレーゾーンの人々は、診断を受けた人よりも社会生活での困難が多いため、適切な支援や理解が求められます。
発達障害未満での生きづらさ
グレーゾーンに位置する人々は、発達障害未満ではあるものの、定型発達とは異なる特性を抱えています。
どこのコミュニティにも属することができない。
そんな空気を何となく感じてしまっている自分がいるのではないでしょうか。
「どこへ行っても、自分は浮いてしまう」
「周りから人がどんどん離れていくけど、その理由がわからなくて苦しい。辛い」
そういう葛藤や悩みを抱えている発達障害グレーゾーンの人の嘆きや辛い気持ちをよく耳にします。
なぜ生きづらいのか？
たとえば、足に怪我をしている人がいるとします。
その人の足の怪我はかなり深いようで、血がたくさん出ています。
そのような状態であれば、「この人は怪我をしている。大丈夫かな？」という気持ちになりますよね。
しかし、体の内部的な疾患によって走れない、すぐに疲れてしまう。
そういう人がいたとして、外見からすぐにその疾患について判断を下すことができるでしょうか。
答えはNO。相手から言われて初めて、その疾患に気づくことが大半です。
「生きづらさ」というのは、表面上には浮かび上がって来ないことが多々あります。
生きづらさの要因は多岐にわたり、他者との適切なコミュニケーションや理解が難しいことが挙げられます。
発達障害のグレーゾーンにいる人々が生きづらさを感じる理由は、自分たちの特性や傾向が発達障害と診断されるには至らないため、一見問題がないように見えることが挙げられます。
この状況下で、発達障害グレーゾーンに該当する人たちは対人関係やコミュニケーションにおいて困難を抱えることがあり、自分自身や周囲との関係に悩みを抱えてしまいがちです。
また、自分たちの特性が理解されず、適切な支援を受けることが難しいことも生きづらさの一因となっています。
これらの理由から、発達障害グレーゾーンにいる人々は、自己肯定感や社会適応能力に影響を受けることがあると言えるでしょう。
グレーゾーンの特性
グレーゾーンには、定型発達との違い、そして「症状が軽い＝グレーゾーン」の誤解が存在します。
発達障害のグレーゾーンには、以下のような特性があります。
- 症状の程度が幅広い
- 幼少期の情報不足により、診断が難しいことがある
- 医師の主観による診断が影響することがある
また、発達障害のグレーゾーンにいる人々は、診断基準を満たすか満たさないかのボーダーラインにいるため、症状がブレることがあり、手帳の取得などの支援を受けることが難しい場合もあります
診断の難しさ
医師が発達障害の診断を下す際、単なる傾向だけでなく、困難の程度が軽いわけではないことが考慮されます。
発達障害グレーゾーンは、発達障害の診断基準を一部満たしているが全てを満たしていない状態を指します。これは正式な病名ではなく、発達障害の傾向がある人々を指す言葉です。
医師が判断する場合、発達障害グレーゾーンの人は、その日の体調によっても症状が左右される傾向があり、診断を受けた日がたまたま体調がよく、目立った症状が見られない場合には、医師は発達障害の診断を下すことができないこともあります。
それだけ、発達障害かグレーゾーンかの境目というのは難しいものなのです。
診断がつかない理由
発達障害グレーゾーンの診断がつかない理由は、下記の理由が考えられます。
体調による症状のブレ
発達障害は日常的な状態に左右されやすく、診断が難しいことがあります。
特に発達障害のグレーゾーンにいる人々は、診断基準を満たすか満たさないかのボーダーラインにいるため、ちょっとした体調の違いでも症状がブレてしまうことがあり得るのです。
幼少期の情報不足
発達障害のグレーゾーンにおける幼少期の情報不足は、診断の難しさにつながる要因の一つです。
幼少期からその症状が存在していたかどうかは、診断基準に含まれており、幼少期の情報が不足している場合、診断が確定できない可能性があるのです。
このような状況下で、グレーゾーンの人々は、診断がないために適切な支援を受けることが難しい場合があります。
そのため、幼少期からの情報を含め、総合的な観点で診断を行うことが重要とされています。
医師の主観による診断
発達障害のグレーゾーンにおいて、医師の主観による診断が中心になることが指摘されています。
医師の主観的な診断により、異なる医師の間で診断結果が異なることがあります。
そのため、患者側ができることとしては、客観的な指標を取り入れた検査を受けることや、症状や困りごとについて正確な情報を医師に提供することが挙げられます。
次の項目で、これらの対策方法について詳しく説明しますね。
正確な診断を受けるための方法
正確な診断を受けるためには以下の方法が有効です。
- 検査による客観的な診断を受ける：医師の主観に左右されない客観的な検査を受けてみましょう。
- 正確な情報を伝える: 自分の症状や困りごとについて、正確な情報を医師に伝えることが大切です。
- セカンド・オピニオンを求める: 複数の医師の診断を受けることで、より客観的かつ正確な診断を受けることができます。
- 問診を受ける際の具体的な情報提供: 問診を受ける際はできるだけ具体的に、素直に話すことが重要です。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
検査による客観的な診断
検査による客観的な診断を受けるためにも、知能検査（WAIS‐Ⅳ、WISC‐Ⅳ）などの客観的な指標を利用したいと相談してみましょう。
症状や困りごとの正確な情報提供
患者が自らの症状や困りごとを正確に伝えることが重要です。
症状の記録や日記をつけることで、正確な情報提供が可能となります。
セカンド・オピニオンの重要性
セカンド・オピニオンは、患者が主治医以外の医師に病気の見解を尋ねる医療サービスであり、発達障害グレーゾーンの診断においても重要な役割を果たします。
- 客観的な診断の確認：別の医師の視点から症状や検査結果を再評価し、より客観的な診断を得ることができます。
- 治療選択肢の拡大: セカンド・オピニオンを求めることで、治療選択肢が広がり、より適切な対応策を見つけることができます。
- 納得感の向上: 自分自身が納得できる診断や治療法を見つけるために役立ちます。
セカンド・オピニオンを求める際には、信頼できる医療機関や専門家に相談し、慎重な選択を行うことが重要です。
グレーゾーンの特性への対処法
発達障害グレーゾーンには、様々な特性が存在しています。
それぞれに合った対処をするためには、一旦どういったことに着目するのが良いのでしょうか。
この項目では、具体的にそれらのポイントをご紹介します。
- 二次障害の有無
- 特性に対する工夫
- 公的支援の活用
これらのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
二次障害の有無の確認
グレーゾーンに位置する人々は、二次的な障害の有無を確認し、適切なサポートを受けることが重要です。
発達障害のグレーゾーンにおける二次障害の有無を確認するためには、「専門家への相談」が必要不可欠です。
専門家との相談を通じて、二次障害の有無を確認し、適切なサポートを受けるようにしましょう。
早期から療育を行うことで、症状をある程度緩和させることができます。
また、子どもの場合は児童発達支援や放課後等デイサービスなど、適切な支援を利用することで、特性に合わせた指導方法や専門的な支援を受けることができますよ。
「まだ二次障害はない」という人は、今後も二次障害を発症することのないよう、周囲の理解や適切なサポートを受けることが必要です。
すぎな塾は、発達障害グレーゾーンの人向けのコミュニティとなっています。
発達障害の特性への工夫
日常生活や学習環境、仕事環境において、発達障害の特性に合わせた工夫をしてみると、発達障害グレーゾーン特有の「生きづらさ」の緩和に役立ちます。
具体的・視覚的な伝え方
具体的な伝え方や視覚的な情報提供をおこなってもらうことで、物事に対する理解を深めることができます。
生活環境の可視化・ルーティン化
生活環境を可視化し、ルールや仕組みを明確にすることで、安心感を得られる環境を整えてみましょう。
感覚特性に配慮した環境設計
特性に合わせた環境設計や素材のデザインを行うことで、不安や緊張を軽減し、安心感を得られる環境を整えることができます。
コミュニケーション面における配慮
コミュニケーション面において、不安や緊張を煽るような言動・行動を軽減してもらえるような環境に身を置くようにしましょう。
「ここは居心地が良い」と思える場所を作るのが必要不可欠です。
公的支援の利用
発達障害のグレーゾーンにおける公的支援の利用については、下記をご覧ください。
発達障害者支援センター
発達障害の確定診断がなくても利用できる公的支援機関です。発達障害者支援センターが挙げられます。
このセンターでは、発達障害に関する相談全般に対応しており、特性に合わせたサポートを受けることができます。
児童発達支援センター
児童発達支援センターでも、発達障害のグレーゾーンについての相談に対応しています。特性に合わせた支援を受けることが可能です。
児童相談所・児童家庭支援センター・精神保健福祉センター
これらの公的機関でも、発達障害のグレーゾーンに関する相談を受け付けており、特性に合わせたサポートを提供しています。
手帳取得と治療の可能性
発達障害の確定診断を受けた人は「精神障害者保健福祉手帳」の取得対象になります。
しかし、グレーゾーンの診断を受けた人は確定診断ではないため、手帳の取得はできないと考えておいてください。
手帳取得の難しさ
精神障害者保健福祉手帳の対象となるのは、発達障害や統合失調症、うつ病、てんかん、薬物依存症、高次脳機能障害などの精神障害を持つ人です。
手帳の等級は1級から3級まであり、それぞれの等級に応じて支援が提供されます。
手帳を持っていると、公共料金の割引、税金の控除・減免、自動車税の軽減などのサービスを受けられます。
ただ、発達障がいグレーゾーンの場合は、確定診断が下っていないため手帳取得が非常に難しいのが現状です。
治療の選択肢
発達障害グレーゾーンの治療は保険診療では難しいとされています。
保険診療では、基本的に発達障害グレーゾーンの方は治療ができないため、特性についてのアドバイスを受けて終了することがほとんどだと考えておいて良いでしょう。
ただし、専門家から具体的にアドバイスを受けることができるのはとても良いことだと言えます。
自分のことをよくわかってくれる医師に巡り会うことができたなら、信頼関係を築いた上で生きづらさを緩和するための行動を取れる可能性が高まるでしょう。
発達障害グレーゾーンの自分と他者とのコミュニケーション
発達障害のある人がコミュニケーションに悩む原因は、症状に由来していることが多く、脳の機能に偏りが生じるため、コミュニケーションを困難にしている原因そのものを解消することはできないことが指摘されています。
発達障害のある人が特に悩みを抱えやすいのが、「職場でのコミュニケーションの困難」です。
他者とのコミュニケーションの問題を解決するには、症状に合わせて原因を理解し、適切な対処法を考えていくことが重要になってきます。
また、発達障害のある人やグレーゾーンの人がコミュニケーションに悩む原因を細かく分けて考えることが大切です。
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他者理解とふれあい
ずっと1人の世界にこもっていたい。
そう思ってしまうくらい、発達障害グレーゾーンの人は「辛い」「苦しい」「助けて」という心のSOSを発している場合が多いです。
気にしないようにしている、と表面上は取り繕っていたとしても、心は傷つき過ぎて修復不能になっていることもあります。
家族との関係
発達障害グレーゾーンの人は、家族とのコミュニケーションがうまくいっていないこともあります。
外の世界で疲れて帰ってきて、家の中でもストレスが溜まってしまう。
もちろん、ストレスや疲れを感じているのは当事者だけではありません。
家族みんなが疲れてしまい、ギクシャクした雰囲気が漂っているという事もあり得るでしょう。
まずは家族との理解を深め、コミュニケーションを円滑にする工夫が必要です。
友人や同僚とのコミュニケーション
他者との関係を築くためには、コミュニケーションスキルの向上が必要不可欠であると言えます。
「自分もこう思っているから、相手もこう思っているだろう」という自分を起点にした考え方ではなく、柔軟性を持って色んな視点から相手を見つめる訓練が必要となります。
心の健康と自己ケア
自分の心の健康を守るためには、しっかりと自分の心をケアすることが重要です。
ストレスが蓄積し続けてしまうと、どんどん心の健康が損なわれてしまいます。
具体的に、発達障害グレーゾーンに属する人におすすめなストレス解消方法は「マインドフルネス」と「カウンセリング」の利用です。
また、ストレスをあまり溜め込まないためにも「自分を認めること（自己肯定感を高めること）」も大事になってきます。
ストレスへの対処法
先に述べたように、ストレスや疲れが溜まってしまっている状態で、心の健康が著しく悪化してしまっていると感じているのなら、「マインドフルネス」や「専門家のカウンセリング」を活用してみてください。
マインドフルネス
マインドフルネスは、今この瞬間に意識を向け、評価や判断を加えずにありのままを受け入れる技法のことです。
これは、過去や未来のことにとらわれず、現在の状況に集中することを意味します。
マインドフルネスの実践は、ストレス軽減や心理的苦痛の軽減などの効果が報告されており、日常生活において実践されることがあります。
マインドフルネスの実践方法には、呼吸に集中する方法や、自分の感情や思考に対して判断を加えずに受け入れる方法などがあります。これにより、心を落ち着かせ、現在の瞬間に集中することができます。
すぎな塾では、会員向けに「呼吸」にフォーカスした動画を提供しています。
サポートグループやカウンセリングの利用
専門家のサポートやグループ活動などを通じて、「発達障害グレーゾーンである自分を受け入れてくれる場所がある」という安心感を得られます。
そうやって、心の平穏を手に入れることができるのです。
自己肯定感の向上
自己肯定感の向上は、発達障害やグレーゾーンの子ども・大人にとって重要です。
グレーゾーンは、発達障害と健常者の中間に位置する状態であり、特性の現れ方によって社会生活に支障をきたさないケースもある一方で、生き辛さや育て難さを感じることもあります。
診断基準や特性の環境依存性から、正確な診断が難しいのが発達障害グレーゾーンの特徴であると言えます。
その特性を理解し社会生活に順応できるよう訓練する必要があります。
自己肯定感の向上には、子どもの場合は親や教師などの声かけ術や適切な支援が必要です。
大人の発達障害グレーゾーンにおいても、過去の成育歴や経験からくる「どうせダメだ」という考えにより自己肯定感が低くなることがあるため、適切な方法で向上させることが重要です。
強みや得意なことの見つけ方
自己肯定感を高めるために、自身の強みや得意なことを見つけることが重要です。
- 得意なことの定義: 得意なこととは、他人と比較して自分の方が上手くできることです。誰にでも得意なことがあり、他人と比較することで強みや弱みがわかります。
- 適性診断の活用: 適性診断を利用して自分に向き合うことが有効です。適性診断を通じて、自分の得意なことや適性を知ることができるでしょう。
得意なことを見つけることで、自己肯定感が高まり、仕事や生活において自信を持つことができます。
ポジティブな自己認識の促進
ポジティブな自己認識を育むために、日常の小さな成功や成果を意識的に受け入れることが役立ちます。
自己肯定感を持つことが難しい大人の発達障害グレーゾーンに対しても、過去の成育歴や経験からくる否定的な自己評価や自嘲を避け、ポジティブな自己対話を促進してみると、効果が期待できます。
発達障害グレーゾーンの人のためのコミュニティ
発達障害グレーゾーンの人は孤独を感じやすいです。
大丈夫、あなたは1人ではありませんよ。
同じように発達障害グレーゾーンとしての悩みを抱えている人は、いまこの瞬間にもたくさんいるのですから。
「自分だけが悩んでいるんじゃないんだ」
「自分と同じような悩みを持っている人もいるんだ」
安心感の獲得や情報交換の場所として、発達障害グレーゾーンの人向けのコミュニティというのは存在しています。
サポート団体の利用法
地域の発達障害者支援センターや専門のサポート団体を利用することで、情報交換や助言が得られます。
地域の発達障害者支援センター
地域の支援センターでは、地元の情報やサービスを提供しています。
オンラインフォーラムとSNSグループ
オンライン上でのコミュニティは、場所や時間を問わず交流が可能であり、多様な情報や意見が共有されています。
当事者だけでなく、その家族を対象にしたオンラインコミュニティもたくさん存在していますよ。
すぎな塾も、その1つです。
発達障害グレーゾーンの当事者やご家族様が少しでも「心をラクにして暮らせるように」。
同じ境遇の人々が情報交換や支援を求め合うコミュニティに参加することは、良い刺激を受け取ることに繋がります。
発達障害グレーゾーンの人が抱える未来への不安
「（発達障害グレーゾーンだから）無理」
「（発達障害グレーゾーンだし）どうやっても普通の人と一緒のことはできない」
そうやって、自分自身の未来の可能性を狭めてしまっていませんか？
発達障害グレーゾーンの人は、学校や仕事・人間関係・自立などに対する不安が存在しています。
このままだと、社会から切り離されてしまうのではないかという恐怖におびえている当事者・ご家族様もいるのではないでしょうか。
特に子どもの場合、将来に対する不安を感じることがあります。
発達障害やグレーゾーンの子どもの将来について不安を感じる親は多く、特に年齢が低い時期には、発達や成長が滞っているように見えるため、将来に対する不安を感じて厳しく接したり、自己嫌悪になったりすることがあるのです。
このような不安を抱える人々にとって、情報交換や支援を求め合うコミュニティが重要な支えとなっています。
将来に対する不安を共有し、支え合うことで、不安を軽減し、前向きな未来に向けて歩んでいくことができるでしょう。
おわりに
発達障害グレーゾーンは、発達障害という確定診断は下らないまでも、その傾向があるという状態です。
まずは、「自分はASD傾向がある」「ADHDの傾向が強く出ていて、日によっては黒に近いグレーになる」というように、自分自身を分析することからスタートしてみてください。
そして、あなたの……発達障害グレーゾーンの子どもや孫、兄弟などを持つ家族の悩みを共有する仲間がいることを知ってほしいです。
発達障害グレーゾーンに理解のあるコミュニティに属することで、悩みを共有し、共に成長していけます。
