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発達障がい(発達障害)のグレーゾーンだったら会社に診断結果を報告するべきなのか?

もし病院やクリニックで、何かしらの発達障がい(発達障害)グレーゾーンであると言われたら……職場の人にそれを言うべきか否か――壁にぶつかっていませんか?

「伝えてしまった結果、関係性が悪くなったらどうしよう」

「困りごとはたくさんあるけど、秘密にしておいたほうが良いんじゃないか」

相手に理解して欲しい、困り感があることを伝えたい。そういう気持ちの一方で、自分の特性を会社の人に拒絶されてしまう恐怖や不安も湧き起こってきますよね。

この記事では、発達障がい(発達障害)の診断は下らなかったものの、「ADHDの傾向あり」「ASDの傾向あり」など、何かしらの発達障がい(発達障害)の傾向があると告げられた人のために、会社の人に診断結果を伝えることは必要なのかどうかについて詳しく解説します。

報告する際の「伝え方」についても触れていますので、グレーゾーンであると診断され、これから会社の人にそれを報告するつもりでいる人もぜひご一読下さいませ。

仕事をする上で困り感があるなら報告しましょう

仕事をするにあたって、あなたの抱えている困りごとや特性が、仕事をスムーズにこなすことの壁となっているのであれば、報告するのが良いでしょう。

伝えるのは直属の上司

グレーゾーンであるとの診断結果を伝えるのは直属の上司です。仕事の割り振りやあなたのミスや失敗のフォローを担う役割を持つのが直属の上司です。なので、まずは直属の上司へ報告しましょう。

同僚へ伝えるかどうかの判断は関係性や仕事内容による

直属の上司以外に、自分の特性や傾向、診断結果などを伝えるかどうかは、これまでの関係性や仕事内容によります。直属の上司に「皆へ伝えておいたほうが良いかどうか」という相談をするのも1つの手です。

他のメンバーと協力して仕事をすることはほとんどない、ということであれば、伝える必要はないかもしれませんね。

発達障がい(発達障害)グレーゾーンであることの伝え方

「病院で検査してもらった結果、自分は発達障がい(発達障害)グレーゾーンでした」

そんな言葉で伝えられたとしても、会社の上司は「それで?」「そう伝えられて、自分はどうすれば良いの?」と戸惑ってしまいます。

グレーゾーンであることがわかり、直属の上司や同僚にそのことを伝えることを決めたなら、相手が理解できるような言葉でしっかりと伝えましょう。

診断名は伝えなくてOK

「ADHDの傾向ありと言われました」

「ASDの傾向ありなので~」

と、いきなり言っても、発達障がい(発達障害)に詳しい上司や仕事仲間には伝わるかもしれません。でも、「聞いたことはあるけど、あんまりよく知らない」という人にはピンと来ません

「衝動性が強い傾向があると言われました」

「自分では気遣いしているつもりなのですが、その気遣いの方向性が独特だと指摘されました」

など、相手に「そういうことか!」とわかるような言い方をしてみると良いでしょう。診断名を相手に告げる必要はないのです。相手から聞かれた答えるに留めるのが良いでしょう。

伝えること①特性

  • 忘れっぽい
  • 過集中
  • 飽きっぽい
  • 話し過ぎる
  • 怒りっぽい
  • 空気が読めない
  • 言葉で伝えるのが苦手

まずは、自分の特性を相手に伝えることが重要です。

「○○して欲しい」

という希望だけ伝えたとしても、何故なのかがわからなければ直属の上司や一緒に働くメンバーとしては疑問が残ってしまいます。

ですから、最初に自分の持っている特性を伝えましょう。

伝えること②困り感

自分の特性を相手に伝えることができたなら、次は「何に困っているか」を伝えます。

  • 期日を忘れてしまう
  • 集中し過ぎて臨機応変な対応が難しい
  • 相手にすぐ怒ってしまう

あなたが困っていることを、端的に会社の人へと伝えます。

伝えること③サポートについて

特性・困り感を上司や同僚に伝えることできてようやく、相手に支援サポートをお願いします。全面的にフォローして欲しいわけではなく、困り感があるところのみフォローをお願いしたいです、など相手にしっかりと配慮した言い方を心がけましょう。

「グレーゾーンって言われたんだから、周りがフォローするのは当たり前」という姿勢でサポートをお願いしてしまうと、せっかく良好だった周りとの関係が壊れてしまう恐れがありますよ。

メモを用意しておくのがオススメ

その場で言葉を組み立てたとしても,相手にどう伝えたら良いのかわからなくなることもあるでしょう。

「頑張って言葉にしてみたけど、10のうち1しか伝えられなかった……」

と後で悔しい気持ちや悲しい気持ちになってしまわないよう、会社の人へ伝えることや伝える順番をメモしたものを、事前に用意しておくのをオススメします。

メモを見ながら言うとしても、支離滅裂しりめつれつになってしまうかもしれない……。

そんな不安を抱えている人は、自分の特性や困りごと、サポートして欲しいことを記載した書類を作成しておくと良いでしょう。

発達障がい(発達障害)グレーゾーンであることを伝えるメリット

生きづらさを抱えながら社会に出て働くグレーゾーンに属する人々。自分がグレーゾーンであるというカミングアウトを会社の人へ伝えると、どんなメリットがあるのでしょうか。

困り感への理解

これまでのミスや失敗が、特性による困り感によるものだった――……。それを直属の上司や同僚に知ってもらうことで、「どうしてこれまでミスや失敗続きだったのか」という理解を得られるようになります。

これまで原因不明のミス・失敗として、叱責されていたことも、「こういう特性であるなら、こうすればミス・失敗をしなくなるんじゃないか」というアドバイスをもらえる可能性もあるでしょう。

サポートの要・不要についての把握

「この仕事を割り振る時は、こうしたサポートが必要」

「1つの作業に集中できないのであれば、2つの作業を並行して依頼する」

というように、特性に合わせた仕事の割り振りができるようになります。

環境調整ができる

生きづらさやキツさを感じながら仕事をしなくても済みます。自分の特性・困り感に対応した職場環境を手に入れやすくなるでしょう。

発達障がい(発達障害)グレーゾーンであることを伝えるデメリット

「上司に自分の特性や困りごとを伝えたおかげで、働きやすくなった」という人もいれば、「こんなことになるなら、伝えなければ良かった……」と後悔している人もいます。グレーゾーンであるという診断結果を伝えた結果、起こり得るデメリットは以下になります。

偏見の目

「グレーゾーンってことは、診断は下ってないんでしょ? なのに特別扱いなんてズルい」

「グレーゾーンなんて甘え」

発達障がい(発達障がい)のグレーゾーンであることを報告したとして、周囲の人全員が受け入れてくれるとは限りません。中には、偏見の目を向けてくる人がいる可能性もあります。

立場が悪くなる

グレーゾーンであることを報告してサポートが必要だと判断されると、今いるポジションから降格してしまったり、別の部署に異動させられる場合もあります。

「より特性に合った部署への異動」という前向きなものなら良いのですが、閑職に回される可能性も0ではありません。

風当たりが厳しくなる

場合によっては、グレーゾーンであることをカミングアウトしたことによって、心ない言葉を言われたり悪口を言われたりする場合もあるでしょう。ミスや失敗をする度に、「あの人はグレーゾーンだから」と、風当たりが強くなる恐れもあります。

こういったデメリットが起こるかどうかは、会社の雰囲気や仕事仲間の性格など複数の要因があるため一概には言えません。あるとも言えないし、ないとも言えないのです。

会社や仕事仲間・仕事内容によって伝えるかどうかを検討しましょう

あなたが今、グレーゾーンの診断をもらって会社へ報告することを悩んでいるのであれば、その時のノリで報告してしまうのは避けたほうが良いでしょう。

じっくりと会社や仕事仲間の雰囲気・性質を見極め、仕事内容的に「言わなければならない状態」かどうかを吟味してみて下さい。

 

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