子どもが発達障がいグレーゾーンなら、まずは子供が何に困っているかを観察するのが大切です。
この記事では、子どものことを知る方法・困り感を発見してそれを減少させるにはどうすれば良いかという具体的な方法についてご紹介します。
まずは知ることから始めよう
「発達障がいの疑いがあるなら、こういうことをするのが良い」
「こうしてみると、子どもが安心できる」
など、巷には様々な情報が溢れています。発達障がいグレーゾーンにいる我が子のために、書籍を読んだりインターネットで配信されている情報などを集め、どうにか子どもを理解しようと頑張るご家族様を、これまでたくさん見てきました。
たしかにそういう知識を自分の中に蓄えることは重要ですが、まずは冒頭で述べたように「我が子を知ること」からスタートするのがベストな選択です。
観察する際に心がけたいのは、じっと見ること。気になることがあっても、口出しすることなく、子どもの状況を観察してみて下さい。ご家族様がまず知らなければならないのは、下記の3つの場所で子どもがどういう状況にあるかです。
- 家
- 外
- 園・学校
家での様子
家で子どもがどう過ごしているかは、ご家族様にとって日常的に目にする機会が多い場所です。どういう時にイライラしているか、どういう時にテンションが上がるのか、どういう場面で困っているように感じるかなど、じっくりと観察します。
いつもなら手助けするようなシーンでも、そっと見守ってみてください。そうすることで、子どもたちが持つ特性によって生じる苦手部分が浮き彫りになったりします。
外での様子
「子どもの様子を観察するなら、家の中でいつも見ているから十分」と思いがちですが、外での様子も観察するのが重要です。
私たちもそうですが、子どもたちも外では家とは別の顔を見せます。家ではできないことであっても、他の人がいる外ではどうにか頑張ってクリアできることだってあるのです。家でイライラを爆発させている原因が、外で頑張り過ぎているから……という可能性もありますから、外での様子も知っておきましょう。
外での様子を観察する際は、人とのコミュニケーションや行動パターン、家ではできないけれどどうにか頑張っていることなどを中心に観察してみて下さい。
園・学校での様子
通常、園や学校での様子は、行き帰りしか見ることができません。
ですが、参観日などを利用すれば園・学校での子どもの様子をこっそり見られます。活動の時などに子どもは友達と一緒に行動しているのか、一人でじっくりと集中しているのか……。子どもの人間関係を知れます。
また、参観日でなくとも先生に相談して様子を見せてもらえる場合もありますから、一度「子どもの園・学校での様子が気になっている(知っておきたい)」というのを相談してみるのもありでしょう。
子どもが持つ困り感を発見する
子どもによって、持っている困り感は異なります。前の段階……「子どもを知る」ということが完了したら、どういうところに自分の子どもが困り感を持っているかを分析してみましょう。
- ①自分の目で確認できたことから推定する
- ②関係者に聞いてみる
- ③子どもに聞いてみる
- ④困り感についてノートなどにリストアップ
①自分の目で確認できたことから推定する
前項目の「まずは知ることから始めよう」というステップで得た情報をまとめてみて下さい。この段階では、走り書きでもOKです。
とにかく、自分にとって確認しやすい形にまとめ上げます。そして、自分が目で見た子どもの状態・状況から見て、どういうところが得意でどういうところが苦手なのかをチェックします。
②関係者に聞いてみる
園や学校など、ご家族様がなかなか関わることのできない場所での子どもの様子を確認する際は、先生などにそれとなく聞いてみるのも良いでしょう。なお、確認する際はメモを持参して相手の話をメモしておくのが肝心です。自分では覚えられると思っても、大事な話がすっぽり抜け落ちてしまうこともあります。
③子どもに聞いてみる
子どもによっては、直接聞いてみるのもおすすめです。質問する時は、具体的な場所やシチュエーションを付け加えるのが◎。「友達を一緒に遊んでいる時、何か困ったことがあったりする?」など、できるだけ子どもがそのシチュエーションをイメージしながら答えられるように努めてみてください。
④困り感についてノートなどにリストアップ
自分の目で見た情報・関係者からの情報・子どもからの情報をまとめ、子どもが抱えているだろう困り感をノートなどにリストアップしてみましょう。パソコンのWordやスマホのメモ帳などに内容をまとめるのもおすすめです。
困り感をなくすにはどうすれば良いのか考える
次の段階では、子どもが持っている困り感を減少させるためにはどうすれば良いか、具体的な方法について考えてみましょう。
- スキルを習得
- 環境調整
- 習い事
スキルを習得
社会的なルールや決まりごとを教えたり、相手の感情がどういう動きをするかを考えさせたりして、スキルの習得を促します。療育を受ける場合は、療育施設でソーシャルスキルトレーニングを実施してくれたりします。
環境調整
子どもが「ごちゃごちゃしているとイライラする」というのなら、家の中のものを減らしたり、統一感を持たせたインテリアにするなど工夫してみましょう。子どもの目線に立って、少しだけ環境を調整するだけでも子どもの困り感が減少します。
うるさい音が苦手な子どもの場合は、声の大きさを調整して話しかけてあげると、安心感を与えられますよ。
習い事
イライラを発散できる場所を作るために、習い事を始めるのも良いでしょう。思い切り体を動かせる習い事や、じっくりと集中して何かに取り組める習い事……。それぞれ、向き不向きがありますから、実際に子どもに体験させてみて「これが良い」という習い事をさせてみてはいかがでしょうか。
習い事をおこなうことで、「自分はこういうこともできるんだ」と、自己肯定感が高まる場合もあります。
困り感をなくすために行動する
発達障がいグレーゾーンの子どもの困り感を減少させたい――……。色んな方法を吟味しつくした最終段階では、実際に行動してみるのみです。
- 療育
- 家庭での支援
- 園や学校に伝える
療育という選択肢
大人発達障がいグレーゾーンの場合は、どれだけ生きづらさを感じていたとしても、公的な支援を受けることは難しいです。自ら生きづらさを克服するために動き、どうにかして社会に適応できるよう努力する必要があります。
けれど、子どもの場合は発達障がいグレーゾーンであっても「療育」という、困り感を減少させるための訓練ができる場所へ行くことができます。
そのため、子どもの困り感が強いようであれば、発達障がいの診断が下っていないとしても……療育を受けるという選択をしても良いでしょう。
家庭でできる支援
「療育を受けるという段階にはないけれど、何もしないでいるのは不安」
「問題ないから……といって見守るように言われた」
という方も多いです。問題ないと言われても、何かしらの困り感があるからこそ、子どもたちは生きづらさを感じているのですよね。そういう時は、家庭でちょっとしたサポートをおこなってみてください。
人間関係の構築を苦手とする子どもの場合は、「相手がどう感じているのか」「どういう気持ちでそういう表情になっているのか」というのを教えるのも有効な手段です。
ご自宅で簡単におこなえる方法としては、絵本を使うのがおすすめです。絵本の一場面を子どもに見せて「この時、くまさんはどんな気持ちだと思う?」など、挿絵の表情を見せてどういう気持ちなのかを子どもに答えさせたりしてみましょう。「怒ってると思う」「何も考えてないんじゃないの?」など、子どもによって様々な答えが返ってくるでしょう。答えは一つではありません。
「正しい答えはこれ!」と押しつけるのではなく、そう感じた子どもの感覚を尊重しながら、別の回答もあることを教えるようにしましょう。
- 子どもが自分のことを親に話せる時間を意識的に取る
- 良いところは手放しで褒める
など、子どもの成長に合わせたサポートをおこなうのも有効です。
園や学校に伝える
子どもの困り感が見えてきたのであれば、それをご家族様だけの胸の内に秘めておくのはもったいないですよ。園や学校の先生にも、しっかりと共有するようにしましょう。
先生たちも、子どもの困り感がわかればそれだけ対処しやすくなりますし、家庭と園・学校との連携も取りやすくなります。
子どもと一緒に前進するための学びを
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「まだ子どもが発達障がいグレーゾーンであることを受け入れられない」という想いもしっかりと受け止めます。