「見守りましょう」
「今後、園などに入ることでグッと成長する可能性もあります。なので、また数ヶ月先に診察を……」
子どもに何かしらの特性があり、親も子どもも困っている。そんな状況で医師や心理士の方から告げられる「見守りましょう」の言葉。それはとてもじゃないけれど、安心できる言葉とは言えませんよね。
……見守るって、どうやって?
そんな疑問に頭を抱えている、発達障がいグレーゾーンの子どもを持つ親は多いです。
この記事では、発達障がいグレーゾーンの子どもに対して医師や心理士さんから「(成長を)見守りましょう」と言われた時の対応方法をご紹介します。
子どもに覚える「何かが違う」という違和感
他の子どもと比べて何かが違う。
- 1.引っかかりを覚え、小児科などを受診
- 2.専門機関への紹介状をもらう
- 3.発達検査などを実施
- 1.一歳半検診・三歳児検診などで引っかかる
- 2.専門機関への紹介状をもらう
- 3.発達検査などを実施
親が覚える、子どもへの違和感というのは当たるものです。一番子どもの近くにいる親だからこそ気づく、「何かが違う」という気持ち。
「これはこの子の個性」
「きっと成長とともに気にならなくなるはず」
いくら自分に言い聞かせてみても、その気持ちは膨らむばかり。そして出てくる困りごとに悩み、意を決して発達検査など専門機関への受診する……という流れを辿る方は非常に多いと言えるでしょう。
検査結果は「経過観察」
何かしらの診断が下るだろう、と思いきや。発達検査の結果は、自閉症スペクトラムやADHDなどの発達障がいとは言い難い、けれど凸凹はあるというものだった――……。
言われたのは「見守りましょう」の言葉のみ。
診断はつかないけれど、グレーゾーンにある子どもの場合はこれからの成長具合を観察する(見守る)という判断を下される場合があります。
すぐに結論を出さないところが大半
医師や心理士さんによる診察・検査などをおこなったからといって、すぐに「この子は自閉症です」「この子はADHDです」といった診断名を明らかにすることなく、様子見をしながら徐々に子どもの特性や傾向を確認していくという専門機関が大半です。
環境の変化でどう成長するかを見守る
早く結論が欲しいと思うのは、親として当然のことでしょう。健常なのか、何かしらの支援がいる子なのかというのをハッキリして欲しい。だから、早く診断して欲しい。
その気持ちはとてもよくわかります。
でも、子どもは「伸びしろ」があるもの。今はできなかったとしても、一ヶ月後にはできるようになるかもしれない。他の子よりもゆっくりかもしれないけれど、最終的には年相応なコミュニケーション能力や知能を獲得できるかもしれない。
だからこそ、初めての診察で診断名をつけないという場合が多いのです。
「診断が下らなかった」は「問題なし」ではない
「この前、発達検査に行ったけど凸凹があるけど見守ろうって言われたから、問題なしってことだよね」という方もいます。
でも、診断が下らなかったからといって、何も問題がないというわけではありませんよね。
- 子どもや親に困り感がある
- 園や学校から「集団の場でこういう特性がある」ということを聞いた
- 検診で「一度発達検査を受けてみませんか?」というアドバイスをもらった
そういう理由から、受診に至ったのですよね。
発達障がいグレーゾーンだから、何もしなくて良いというわけではありません。「新学期にまた受診してください」「学年が変わったら、また診察してみましょう」と言われ、モヤモヤする気持ち、とてもよくわかります。
「見守りましょう」って、どうやって?
もしも、お子さんの発達について相談へ行ったとして、困り感を医師や心理士さんに話し、発達検査を受けた結果……「見守りましょう」と言われた時、どういう「見守り方」をすれば良いのかについて、この項目で一例をご紹介します。
- 子どもの変化を書き留める
- 得手不得手を見つける
- 繋がっておく
子どもの変化を書き留める
経過を観察しようと言われたなら、子どもの些細な変化などを書き留めておくのが良いでしょう。ちょっとしたことでも構いません。「こういう時に、こういう荒れ方をする」「イライラするとものに当たってしまって、一時間くらいは癇癪が続く」など、親も子どもも困っていることを書き留めてみてください。
そして、それが経過観察する中でどういう変化(成長)があったのかというのも一緒に書いておくと良いでしょう。
得手不得手を見つける
ハサミを使った工作などが苦手、暗記はかなり得意、記憶力が良い、計算が苦手、など子どもによって得手不得手というのは存在します。自分の子どもがどういう物事に関心を持っており、どういうことが苦手なのか……。そういう部分を突き詰める時間として、見守ってみてください。
繋がっておく
見守ってくださいと言われたから、素直に家族だけで子どもを見守る……という選択をしなくても良いのです。病院や自治体の発達相談窓口、地域の療育センターなどと積極的に繋がっておきましょう。これはとても重要な意味を持ちます。
時間が経つほどに生まれる「本当にこのままで大丈夫なの?」という焦りや不安。「子どもに自分はどうやって関われば良いの?」という悩み……。そういう気持ちを吐き出せる居場所を確保しておくのが大切です。
なお、受け身の姿勢だとこういった機関との繋がりは希薄になってしまう恐れがあります。なので、できるだけ自治体や病院などとは親が積極的に繋がりを持つように行動しましょう。
幼児期はグレーゾーンでも療育が受けられる場合も
――発達障がいグレーゾーンは、サポートが受けられない。
現時点において、発達障がいグレーゾーンの人というのは、発達障がいを持つ人なら受けられる支援も受けられず、社会の中で凸凹が少ない人たちと一緒に暮らしていかなければなりません。
ですが、「子ども」に限っては発達障がいグレーゾーンだとしても支援が受けられる場合があるというのをご存じでしょうか。自閉症スペクトラムやADHD、知的障がいなどのグレーゾーンに位置する子どもは療育の場でサポートを受けられます。
発達支援のことです。発達障がいやその可能性がある子どもに対し、困りごとを解決に導くためのサポートをおこないます。発達支援をおこなうことで、将来的な自立や社会への参加ができるようにするというのが狙いです。個別療育・集団療育などがあり、発達の状態や特性に応じて最適なサポートが受けられます。
親が望むか望まないか
発達障がいグレーゾーンの子どもが療育を受けるかどうかは、最終的には親に決定権があります。
親の意見を無視して療育に進むことはない
「このまま様子見を続けたい」という意向があるのであれば、親の意見を無視して療育の場へ進むことはありません。
ただ、一つ知っておいて欲しいのは「療育に行く=診断が下る」というわけではないということです。療育というのは子どもそれぞれの生きづらさを緩和するためのもの。
「まだ、父親・母親ともに心の整理がつかない」という場合もあるでしょう。それは当然のことです。恥ずかしいことでも、駄目なことでもありません。心の整理がつかないうちに、子どもに療育を受けさせるのは……と躊躇ってしまう気持ちは十分にわかります。
子どもに合った療育計画
療育をおこなうと決めたなら、担当者と一緒に子どもの特性や困りごとに寄り添った療育の計画書を立てていきます。親として、子どもにどうなって欲しいのかというのも計画書に盛り込むことになるので、「友達と仲良く遊べるようになって欲しい」「すぐに手が出るところを成長させたい」など、希望を担当者に伝えると良いでしょう。
子どものために親ができること
見守る期間において、親が子どもにできることは大きく分けて下記の3つです。
- 療育に行く
- 子どもを知る
- 意識を変える
療育に行く
前項目でも述べたように、大人発達障がいグレーゾーンの場合とは異なり、子どもの場合は「療育」という選択肢があります。発達障がいという診断がなくても、療育手帳などがなかったとしても、医師の意見書などがあれば自治体の発達相談や、地域の療育センターなどに相談して支援を受けられます。
療育では、専門スタッフが子どもの発達や特性に合わせた支援、関わり方のアドバイスなどをおこなってくれるので、親も気づけなかった「こういう特性があるから、こういう行動をしているんだ」という気づきを得られたりします。
子どもを知る
家庭内や学校内などで、子どもがどういう言動・行動を取っているのかはもちろん、どういう考えを持っているのかというのを知るのは重要なことです。悪い部分だけでなく、良い部分にもしっかりと焦点を当ててみてください。ちょっとしたことでも褒める、失敗の中にある頑張った部分を口に出して子どもに伝えるようにすると、子どもとの信頼関係構築に繋がります。
意識を変える
「普通は、こうでなければならない」「他の子はこれくらいできている」という意識を変化させてみましょう。親の理想イメージをそのまま反映させるようなり方をしていないか、何でも細かく口出ししてしまっていないか、など今一度、親自身がどう子どもに接しているかを見つめ直し、良い方向へ意識をシフトさせましょう。
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療育を通して、ペアトレーニングを受ける人もいるくらい、子どもを知る・親の意識を変化させることは、発達障がいグレーゾーンの子どもにとって非常に意味のあることです。
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塾長は、相談支援専門員であり国際薬膳師の資格を持つ、障がい者福祉事業所の経営に携わっており、発達障がいについての知識があることはもちろん、様々な特性を持つ人と関わってきました。
その経験を活かし、どういう特性を子どもが持っているのか、どういう支援を望んでいるのか……。これまで培ってきたノウハウをつぎ込み、発達障がいグレーゾーンの子どもを持つ方にアプローチします。
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