「帰ってきたら、まず脱いだ靴を揃えて手洗いをして欲しい」
「ゲームをする前に、宿題をして欲しい」
何かして欲しいことがある時には、事前予告をおこなうことが有効です。
自分の好きなことややりたいことがあると、それを真っ先にやってしまいたくなる気持ちは、誰にだってありますよね。でも、その前にやらなければならないことがある……。
「どうしてうちの子は、やらなければならないことをやってから、自分のやりたいことができないんだろう」
と、ため息をついているご家族様に、この記事を贈ります。
この記事では、事前予告をするのが良い理由・やり方などを詳しく紹介しています。現在進行形で、「して欲しいことを子どもがやってくれない」という悩みに直面しているご家族様は、ぜひご一読くださいませ!
指示は事前にするのが良い
して欲しいことは、前もって「〇〇をしてね」と伝えておくのは発達障がいグレーゾーンの子どもだけでなく、有効な方法と言えるでしょう。
誰でもそうですが、前もって何をするべきなのかがわかっていると、先の見通しがつくので行動しやすいですよね。「まずはこうして、ああして……」と自分でやることを組み立てて計画するのは意外と面倒なものです。
この項目では、事前予告をすることでどういうメリットがあるのかをお伝えします。
- やるべきことが明確だから子どもも安心
- 親がイライラしなくて済む
- スムーズな行動が可能に
やるべきことが明確だから子どもも安心
やるべきことが明確でないと、子どもは自分のやりたいことを優先させてしまいがち。「こうしたい!」と思ったら、衝動性が抑えきれないタイプの子どもは特にこの傾向が強いです。
指示をいつ出すかによって、指示の通り方も違ってきます。事前に予告することなく、その場で指示を出すと、既に子どもの心は自分のやりたいこと・興味があることに集中してしまっているでしょう。そうなってしまうと、どれだけ親が「これをしてから!」と指示を飛ばしても、言葉を耳に入れることなく素通りしてしまうのです。
親がイライラしなくて済む
子どもにやって欲しいことを事前に予告しておくことで、親の心に余裕が生まれます。「これやって!」「あれもやって!」と、その場で指示をすることで、疲弊してしまっていませんか?
「何度言っても言うことを聞かない」
「自分のやりたいことだけやって、こちらがやって欲しいことは後回しどころかやろうともしない」
と、イライラしてしまう自分に自己嫌悪したり……。
やって欲しいことがある時は、事前予告をうまく活用すると、子どもに対してイライラしなくても済みますよ。事前予告をおこなったからと言って、すぐに子どもが動いてくれるとは限りません。
ですが、「ちゃんとやるべきことは伝わっている」という安心感が、ご家族様の心の中に芽生え、イライラ頻度が低下します。
スムーズな行動が可能に
やって欲しいタイミングで指示を出すと、子どもが混乱してしまう可能性もあります。事前に予告しておけば、「これはどうやるの?」など、親に疑問を投げかけたりできるので、子どもも心の準備ができるでしょう。心の準備ができていれば、円滑にやるべきことをおこなえます。
指示が後手に回ると親も子どもも疲れてしまう
「これやって」
「これが終わったら、あれもやって」
「今それじゃなくて、これをやって」
そんなふうに、指示が後手に回ってしまうと、どうなると思いますか?
親は、たくさんの指示を子どもに出すこと・子どもが思うように動いてくれないことに苛立ってしまうでしょうし、子どもはあれやこれやと親から指示を受けて混乱してしまうでしょう。
どちらにとっても、指示が後手に回るということは良いことではありません。
その時に注意しても遅い
やるべきタイミングが訪れた際に注意や指示を出したとしても、その指示・注意がうまく子どもに通らないことが多いです。
やるべきことが後回しになってしまう
指示が後手に回ることによって、やって欲しいことが後回しになってしまうことも……。結果、「本当は、おもちゃで遊ぶ前に帰ってきたら手を洗って欲しいのに……」と、親の心には不満とイライラが、子どもはやりたいことを中断しなければならないという不満とイライラが溜まってしまいます。
叱る・叱られる負のスパイラル
指示するタイミングを逃してしまうと、叱る・叱られるの負のスパイラルに陥ってしまう恐れがあるでしょう。
事前予告のやり方
具体的に、事前予告をおこなう手順についてご紹介します。
- ①目的に着く前・やるべきことをする前に指示を出す
- ②質問形式にする
- ③復唱させることが重要
①目的地に着く前・やるべきことをする前に指示を出す
目的地に到着する直前・やるべきことをする直前に、指示を出すようにしましょう。大体5分前くらいが目安です。早すぎても、遅すぎても指示が子どもに届きにくいので気を付けてくださいね。
子どもによって、指示が響くタイミングというのは違ってきます。何度かタイミングを変化させ、自分の子どもにベストなタイミングで声かけをおこなうようにしてみてください。
②質問形式にする
子どもと一緒に歩きながら、「家に帰って最初にやることは?」「その次にやることは?」など、質問形式で指示を教えると良いでしょう。子どもが「わからない」「知らない」といった答えを口にしたとしても、怒ることなく「最初は〇〇をして、次に××だね」と穏やかな口調で教えます。
③復唱させることが重要
指示は、子どもに復唱させるようにしてください。「じゃあ、家に帰ってすることをもう一度言ってみよう」など、子どもの中に指示を浸透させることを意識してみましょう。
答えがわからない・間違った答えを言ってしまう子どもには、親が正しい答えを誘導します。注意点は、子どもの言葉を否定しないこと。「そうだね、〇〇を最初にしよう」という声かけを心がけます。
指示の数は子どもの成長レベルに合わせる
子どもの理解力などのレベルに合わせ、指示の数を調整します。一つひとつの指示しか通らない子どもに、たくさんの指示を理解してもらうのは難しいですよね。玄関の前に着いて、「ドアを開けたら、何を一番にするでしょうか?」など、一つずつ指示を理解させるようにしましょう。
早く指示しすぎるのはNG
先述した通り、事前に指示をしなければ……と思うあまり、早めに指示を出すのは禁物です。子どもによっては、忘れてしまう可能性があります。
視覚的な理解が得意な子どもにおすすめの事前予告方法
「口頭でいくら言っても、うちの子には響かない」
そんな悩みを抱えている方には、「視覚的な理解」を促す事前予告の方法をおすすめします。
耳からの情報取得が苦手な子には視覚的な予告を
発達障がいグレーゾーンの子どもたちには、様々な特性があります。Aくんは耳から情報をしっかり汲み取れる、Bさんは目からの情報を素早く処理する能力に優れている、など……。子どもの特性に合わせて事前予告のやり方も変化させることが重要です。
いくら丁寧に伝えてみても、どうしても耳からの情報をうまく処理できない――……。
そういう子どもには、視覚的なサポートをしてみましょう。
ホワイトボードなどにやることを書く
視覚優位な子どもに対しておすすめの事前予告は「ホワイトボード」を使った支援です。
まずは、ホワイトボードに「帰ったらやること」などを絵や文字で書いておきます。自分でチェックできる子どもであれば、チェックボックスも一緒に書いておくと良いでしょう。
玄関付近にホワイトボードを置いておく
玄関の近くにホワイトボードを置いておきます。帰宅したら、まずホワイトボードをチェックさせる癖をつけさせます。そして、一つひとつの項目をこなしていき、できたらチェックを入れるようにしましょう。
子どもの成長に寄り添うための学びを
親が子供にやって欲しいことがあるのなら、事前に声かけしておくことで親も子どもも苛立つことなくやるべきことをこなすことができます。
やるべきことが定着してしまえば、事前予告をする必要もなくなります。習慣化するまでは、今回ご紹介した方法をおこない、子どもの中で「帰ったらまず〇〇する」というのを繰り返し言ってみましょう。
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